【書評】「スタートアップ・バイブル」シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた

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 【書評】「スタートアップ・バイブル」シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた 【書評】「スタートアップ・バイブル」シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた
米国シリコンバレーのベンチャーキャピタル「Fenox Venture Capital」で代表を務めるアニス・ウッザマン氏が、日本人に向けて書いたのが本書『スタートアップ・バイブル』。

帯で楽天三木谷社長が『日本人向けに書かれた「教科書」』とコメントされているのが目を引きます。
早速読んでみましたが、スタートアップの作り方からゴールまでの重要なポイントが段階的に解説された良書でした。

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「スタートアップ・バイブル」の概要

本書では、著者が考える「スタートアップが成功するために必要な条件」のうち、特に重要な内容として以下6つの要素が解説されています。

1 チームの作り方
2 プロダクトの作り方
3 特許で守る利益
4 マーケティングの方法
5 勝つための資金調達戦略
6 ゴールとしてのエグジット戦略

これらの項目のうち、個人的に参考となる内容が多く含まれていた「2.プロダクトの作り方」について、備忘録も兼ねて簡単に内容と感想を書きました。ちなみに今回のエントリーでは触れませんが、「3.特許で守る方法」については日本ではほとんどのスタートアップが実践していない内容なのでは無いかと思いますし、他のスタートアップ関連書籍やメディア記事でもあまり見かけない情報でしたので、大変勉強になりました。

問題と解決策を見つける

著者が投資家としてスタートアップを調査する際には、まず

「どのような問題を解決しようとしているのか」

が明確かどうかを確認するとのこと。

明確だった場合には、次に「どのように問題を解決しようとしているのか」を見るそうです。

なるほど!と思ったのは、著者が「この逆は無い」と述べている点です。

解決策がどれだけ優れていても、前者の問題意識が明確で無ければマーケットや顧客を想定するのは難しいと。逆に、問題が明確であれば、解決策が間違っていた場合でも別の方法にピボットできると書かれています。

一見当たり前の事のように思えますが、この順序が逆転しているケースは非常に多いように感じます。例えばスマホやソーシャルを使った事業アイディアが最近では多く見られるようになっていますが、手法や技術ありきで考えられた「こんなことができたら面白いよね」という感じの事業案などです。

ちなみに私の前職のリクルートでは、新規事業企画などを検討する際に、「どんな人がどう困っているのか」という点を具体的に突き詰めて考える風土がありました。それは「カスタマーの不」という言葉で表現され、周囲から日常的に聞こえてくるほど。

とりわけスタートアップについては「どんな課題を解決したいのか」から全てが始まると言っても過言では無いのでは、と改めて感じました。

また、このブログでも以前ご紹介したYコンビネーターについて、本書にて2012年8月に行われた投資家向けプレゼンにおける63社分の傾向が掲載されていました。
分野についてはEコマースが全体の22%を占めており、圧倒的に多いそうです。

全体のトレンドとしては、ECやAPI、分析などテクノロジーが成熟した分野におけるプロダクトと、金融や教育のようなテクノロジーの利用が未発達の業種を扱うプロダクトに大別されるとのこと。また、業種を超えたトレンドとして、情報の多様化に伴う情報整理やキュレーションなどにより、特定分野に特化したコンテンツを提供するスタートアップが増えているという事でした。
本場シリコンバレーにおけるこれらのトレンドは、大変参考になりますね。

マーケットを見極める

著者はスタートアップへの投資を検討する際、100億円以上の市場をターゲットにしているかどうかを意識するとのこと。基本的にシリコンバレーの投資家は皆そう考えているらしいです。なぜなら、ターゲットが100億円以下の市場であれば、その会社の規模も100億円以上にはならないから、と。

また、ちょうど先日書いた「起業したい人はチェック!「市場規模」の考え方でハマる落とし穴」で私も触れた通り、市場規模の算定については既に出来上がっている市場の数値だけでは無く、スタートアップが新たに創出しようとする市場についての算定が必要との事です。

特に本書では、これらの市場について「顕在市場」及び「潜在市場」という言葉を用いており、明確に区別するようにと指摘しています。

もちろんスタートアップが攻める新しいマーケット、つまり「潜在市場」についてはネットや◯◯白書などのデータに載っていないため、この潜在市場をいかに捉えるかが非常に重要ですね。

リーン・スタートアップとピボット事例

最近日本のスタートアップ業界でよく聞かれるキーワードですが、最低限の基本的な機能を実装した段階で可能な限り早くプロダクトをリリースする「リーン・スタートアップ・モデル」を本書でも推奨しています。

いち早くリリースすることで得た顧客からのフィードバックをもとに、仮説の検証を繰り返し、サービスをブラッシュアップするこの方法。著者はそのメリットの一つとして、「ピボット(事業方針の転換)」をその事例とともに挙げています。

インスタグラムやドロップボックス、AirBnBといった有名なスタートアップも、始めから今の形だった訳ではなく、リーンスタートアップとピボットの結果によるものだ、とのことです。

一方で、日本の投資家の方々とお話をしていると、「安易なピボットは反対だ」という声をよく聞きます。確かに、元々の仮説の検証を全てやりきった上での判断ならまだしも、「ピボット」という聞こえの良いバズワードに乗って方針をコロコロ変えてしまうと、全てが中途半端に終わってしまうような状況に陥りかねません。

この辺りのバランスは非常に難しい部分があると思いますが、何はともあれ「顧客の声に耳を傾ける姿勢」が重要だと感じました。

まとめ

本書は、チームの作り方、上記でご紹介したプロダクトの作り方から、日本ではなじみの薄いスタートアップによる特許、資金調達からイグジット戦略まで、起業における一連の重要な要素が盛り込まれた素晴らしい良書だと思います。

最近特にスタートアップ関連の書籍が増えてきており、このブログでも良く取り上げていますが、それらの中でも本書は特に参考となる内容が多かったように感じました。起業に興味のある人はぜひ読んでもらえればと思います。

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